肥満と遺伝子

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肥満遺伝子

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〜肥満遺伝子〜

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 ◆◆肥満と遺伝子◆◆


  【肥満と遺伝子】では、人はなぜ、肥満になるか?
  【肥満と遺伝子】の観点からその疑問について考えてみました


 肥満遺伝子

 ここでの肥満遺伝子(Obese Gene)とは肥満を起こす遺伝子ではなく、肥満を防ぐ
 遺伝子を指しています。

 ▼ふつう動物は、体に十分な脂肪が蓄えられていると自然と食べる量を減らし、
  体のエネルギーが足りないと食べる量を増やすということを自動的に行うために、
  体の脂肪の量はほぼ一定に保たれます。
  ところが、この自動調節機構が働かないため、異常に食べ続け、ふつうより2から
  3倍の体重になってしまいます。
  ただ単にたくさん食べるだけではなく、動きが鈍く、体温も低く、エネルギーの消費量が
  低いこともあって、体にたくさんの脂肪をため込んでしまうのです。

 ▼肥満は、両方の親から肥満の原因となる遺伝子を受け継がなくては肥満になりません
  (劣性遺伝)。肥満を防ぐ物質を作る遺伝子に異常があって、この物質を作れない
  ということが考えられました。

  この物質(肥満を防ぐ)は何か?

 ポジショナルクローニング法

 肥満原因の遺伝子が染色体DNAの中でどの場所にあるのかを直接決めてしまう
 方法です。

 ▼この遺伝子は、これまでに知られていなかった全く新しい種類のタンパク質を
  作ることがわかり、OBタンパク質、またはレプチンと命名されました。
  そして、このタンパク質は脂肪細胞で作られていること、タンパク質が正常に
  つくられないことなどが確認されました。こうして、レプチンは自分の体に
  どのくらい脂肪があるかを感知して、その情報を脳に伝える物質ではないかと
  予想されています。

【マウスの研究】
  レプチンがどのように作用するか

  食べる量が減少、動作が活発になり、糖の代謝が盛んになってたくさんのエネルギーを
  消費する。脳の中にレプチンの情報を受け取る仕組みができ、レプチン受容体と
  呼べるようなものがあることが判りました。

 ◆レプチンによる体重の調節
  動物の体の中に必要以上の脂肪が貯まると、脂肪細胞はレプチンを盛んに合成します。
  レプチンは血液中を流れて脳に届き、脳やその他の部位はその情報によって食餌の
  摂取量を減らしたり、エネルギーを余計に使ったりします。
  逆に脂肪が足りないとレプチンは少ししか作られなくなり、動物はよりたくさん食べて、
  その一方でエネルギーの消費を減らそうとします。肥満は、体に脂肪がありすぎても
  脳はまだ脂肪が足りないと錯覚して、よりたくさん食べて脂肪を異常に貯めてしまう
  のです。
 
  ヒトの肥満に関してはレプチンの遺伝子の異常が原因で肥満が起こるという例は
  報告されていません。

  しかし、ヒトのレプチンをマウスに注射してみたところ、マウスのレプチンと同じように
  効果があることがわかりました。

  レプチンは高脂肪食によって誘導された肥満にも効果があるという事実によって、
  レプチンはヒトの肥満にも効果があるのではないかという期待がもたれています。
  現在までにマウスに注射した実験では特に副作用も見られないようです。
  これは表題にあるように、レプチンが肥満の夢の特効薬になる可能性を示しています。

  ただしそれはあくまでも「可能性」であって、実用化までにはまだまだ調べなくては
  行けないことや解決しなければならない問題点が沢山あります。


 セロトニンレセプター

 セロトニンは神経伝達物質と呼ばれる物質の一つで、ある神経細胞から他の神経細胞
 に情報を伝える働きがあります。神経伝達物質にはいろいろな種類があり、食欲に
 関係する一群の神経細胞は、このセロトニンを利用しているのではないかと
 考えられてきました。

 ▼ セロトニンの情報を受け取るセロトニン受容体には、いくつかの種類があることが
   知られています。セロトニン受容体のHT2Cと呼ばれるものが食欲に関係のある
   神経の働きを担っている様です。このような、食べたいという気持ちを抑える作用を、
   難しい言葉で摂食抑制と言います。満腹になったときには、もう食べたくないと
   感じますが、脳で摂食抑制の信号が出されるときには、セロトニンが放出されて
   他の神経細胞に伝えられることが、確認されました。

 ▼ なぜダイエットが難しいか。ダイエットをすると血中のトリプトファンというアミノ酸が
   減ることがわかっています。

   トリプトファンはセロトニンの材料になるものです。ですからダイエット中の人は、
   トリプトファンが十分に作られないため、食抑制が起こりにくく食べたいという欲望に
   負けてしまいやすいというものです。


 ヒトの肥満関連遺伝子

 ヒトの肥満というのは、とても複雑な現象であり、たくさんの遺伝子が関わっています。
 少なくとも30種の遺伝子が肥満しやすいという素因に関わっていると推測されています。
 その中の一つが最近わかりました。

 ▼ それは、アドレナリンのβ受容体というものの遺伝子です。
   アドレナリンというのは、脂肪や糖の代謝を調節する働きのあるホルモンですが、
   先のセロトニンと同じように神経伝達物質でもあります。アドレナリンもアドレナリン
   受容体というのに結合して、作用を発揮します。ヒトのアドレナリン受容体のうち、
   β3型という受容体の遺伝子を調べてみますと、何人かに1人は変異を持っている
   ことがわかりました。多くの場合、遺伝子の塩基配列の変異は、その遺伝子がつくる
   タンパク質(この場合アドレナリン受容体)のアミノ酸の並びを変えてしまいます。
   この受容体の端から64番目のアミノ酸は普通トリプトファンというアミノ酸なのですが、
   これがアルギニンに変わっているという変異でした。そしてこの変異を持っている
   ヒトと持っていないヒトを比較してみると変異を持っているヒトの方が成人してから
   肥満になる率が高いことがわかったのです。これは1995年の医学雑誌に発表され、
   ヒトの肥満と関係のある変異として注目されています。


 みんなさんへ

 ★遺伝子と肥満の関係ということで、3つの例を挙げました。
   ここからわかる重要なことは、肥満というのは、環境的な要因に加えて
   遺伝的な素因にも起因するということです。やせている人からみると、
   「太っている人は食べる量を減らせばいいのだから、やせられないのは
   ただその人に節制心や忍耐力がないのだ」と思いがちです。

   確かに食べる量を減らせばいいのですが、ここに書いたようにヒトの食欲
   というのは、場合によっては遺伝的要因に大きく支配されているのです。
   そのヒトがエネルギーを消費する量も遺伝的影響を受けるのです。ですから、
   肥満に悩んでいる人は、単純に忍耐力のなさなどを責められるべきではないし、
   自分を責める必要もないのです。

   人によってはダイエットは非常に難しいのは仕方がないのです。だからこそ、
   肥満の治療には安易な方法に頼ることなく、長い期間かけた着実な方法が
   必要になるのです。




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